いちばん星の独占権



- side 佐野麟太郎 -






『いつから? そんなの知らねえ忘れた』




ほんとうは、ちゃんと覚えている。

そんなもん、最初からだ。




枢木ほのかに出会った日のことを俺は、ずっと、鮮明に覚えている。きっと、ほのかは忘れてしまったんだろうな。そう思うと、普通にムカつく。あーあ、どうせあの金髪野郎と今頃一緒にいるんだ。




────いいけど。

ほのかが笑っているなら、俺は、正直なんだっていい。






⭐︎

꙳ ︎




俺は物心ついたときからこんなだから、物心ついたときから周りから少し……いや、かなり浮いていた。


大人しくお行儀よくしていることができなかった。
まわりに合わせることも苦手だった。
それを克服しようとも思わなかった。



もともとひねくれていた性分が、そのせいで、友だちもうまくつくれなくて、さらにひねくれた。



幼いながらに “荒れて” いたんだと思う。
自業自得って言われればそれまでだ。



でも、そこから抜け出す方法も、わからなかった。




「あー! りんたろー! またひとりぼっちー!」

「ウルセエバーカ!!!」

「りんたろーはおともだちいないもんねー!かわいそうだから、れーながあそんであげてもいいよ!」

「オマエもぼっちのくせに!!!」

「っ、うわあああんりんたろがひどいごどい゛っでぐるー!!!」



ことあるごとによくわからない絡み方をしてくる玲奈をのぞいて、ほんとうに、まわりには人がいなかった。


暴言を吐いて、それで玲奈がびーびー泣いて、それの繰り返し。



俺もひん曲がっていたから、誰かとまともな会話ができたことがなかった。居場所がなかった。みんな嫌いだった、学校も嫌いだった。自分が悪いとわかっていても、俺を避ける同級生も、俺を叱りつける先生も。




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