ユア
朝、目が覚めるとユアはそこにいなかった。

ユアの服や、靴や、生活用品だけがユアがいた証拠だ。

ユア自身と指輪だけが俺の前から消えた。



あの半年間はなんだったんだろう。
優愛がユアに姿を変えて俺のところにきてくれたのだろうか。

あれから、あの白いサイトへはアクセスできなくなっていた。
メールも知らないうちに消えていた。

「優愛…」

優愛と逢うということはもうないと嫌でも痛感する。

寒い冬の朝。

空を見上げた。

ちらほらと雪が降っていた。

いつか…いつか俺がそっちに行ったら
優愛…お前は俺を迎えてくれるか?

それまで…俺は優愛に胸をはれるように、こっちで頑張るからさ。

だから、心配しないでくれよ。

俺はいつも通りの朝に戻る。

仕事へ行くために玄関へ向かう。
ユアが半年間だけ見送ってくれた
あの「いってらっしゃい」を思い出す。

「いってきます」俺は小さく呟いてドアを開く。

外は相変わらず寒い。

冬の寒空の下、俺は地面を蹴って進み出す。
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