一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
今度はハッキリとした声で俯いたまま、言葉を発した。
『紗江さんを会わせるつもりは一生、ありません。』
それは初めて聞く彼の低く冷たい声。
真木さんも驚きを隠せないのか、困惑した表情をしている。
無理もない。
だってこんな拒絶するのような言葉、私だってどう返して良いのか分からないのだから。
暫く不穏な沈黙が続き、戸惑っているとその沈黙を破ったのは寝ていた筈の真由ちゃんの唸るような声。
「き、、気持ち悪、、、い、、、。」
その言葉に俯き黙り込んでいた彼がハッとした表情をしてから立ち上がった。
『明日も仕事ですし、川田さんも具合が優れないようなのでそろそろお開きにして帰りましょうか。タクシーを止めてきます。何台止めますか?』
「真由は吐くかもしれないから俺が連れて帰る。二台は必要だろうな。」
『分かりました。では二台確保して来ます。』
そういうと居酒屋の外へと向かっていった。
一度も私の方を見ることもなく。