一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
それからの事はあまり覚えていない。
ボンヤリと覚えている事といえば食事代は真木さんが全て出してくれて、真由ちゃんを優しく抱え上げてタクシーに乗り込りこみ、帰り際までとても申し訳なさそうな表情を浮かべていた事。
それからもう一台のタクシーに彼と乗り込んで私のアパートまで送ってくれたという事くらいだ。
タクシーの中ではいつもの彼に戻っていたようだったが、ボンヤリと会話をしていた為にどんな内容だったか思い出せない。
部屋に着いても、シャワーを浴びても、ベッドへと横になってもモヤモヤが一向に消えない。
そこで携帯を手にして、恐る恐る電話を掛ける。
掛けた相手とは数コールで繋がり、静寂の中よく知った声が耳に響く。
「もしもし姉貴?どうした?こんな時間に。」
「遅くにごめんね、慎一。今、、電話大丈夫、、?」
「あぁ、大丈夫だけど。」
「あの、、ね?暁人くんの事なんだけど、、。」
「、、暁人がどうかした?」
怪訝な声を発する弟に少し躊躇いながらも、小さく問いかける。
「暁人くんのご両親やご家族の事って、、何か聞いてる、、?」
「、、、、、まぁ一応それなりにはね。アイツんち少し複雑だから。」
「そ、、なんだ、、、。」