一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


日本、いや世界でみても有名な大企業〝片瀬コーポレーション〟


その企業名に息を呑んだ。







「慎一は知ってた、、?」

「俺は、、まぁ、、。」





隣の慎一に震えた声で尋ねると罰が悪そうな表情で答えた。





私は知らなかった。


彼が御曹司だということは知っていても、世界を有する程の一大企業の御曹司だなんて。









「柏木さんはご存知無かったですか。ショックを受けている所に申し訳ないのですが、話を続けても、、宜しいですか?」

「はい、、。」





まだ話は途中だ。

グッと唇を噛み締めて芳川さんへとまた耳を傾けた。







「当時、社長に就任されたばかりの社長はいつもピリピリとした雰囲気を纏っていて近寄り難い存在でした。しかし若くして社長へと推されただけ合って仕事の出来る男で、見た目も良く一大企業の御曹司とくれば、憧れる人間も少なくありませんでした。社長は後継者として幼少期から厳しく育てられ〝できて当然〟という世界で生きてこられました。その重圧は、、計り知れ無かったと思います。社長秘書を務めて数年した頃、社長はある女性を目で追うようになりました。それが私の妹であり、暁人さんの母親です。女性を選ぶのによりどりみどりだった社長が何故、彼女に惹かれたのか当時は分かりませんでしたが今なら分かる気がします。、、きっと2人は似ていたのだと。だから自然と惹かれ合った。それから暫くして2人は密かに交際を始めます。笑顔が消えていた彼女には笑みが戻り、近寄りがたかった社長は雰囲気が優しくなりよく目を細めて笑うようになった。私はそんな2人を見るのが好きでした。辛い幼少期を過ごした2人にようやく幸せが訪れたのだと信じて疑わなかった。しかし2人が交際を始めて3年目の頃に社長に政略結婚の話が上がりました。」

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