一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
きっと芳川さんも暁人くんのお父さんと共に戦ってきたんだろう。
それがきっと今、報われた瞬間。
涙が流れても仕方ない。
それでも私は聞かなきゃいけない。
「それで?姉貴に近づいた目的は?まさかこの話を聞かせたかっただけ、、じゃないんだろ?」
そう。
きっとこれは前振りでしかない。
慎一の言う通り、真の目的を聞かなきゃいけないのだ。
もしかしたら聞かなければ良かったと後悔する話かもしれない。
でも覚悟を決めて芳川さんに声を掛ける。
「、、芳川さんは私にお願いがあると仰っていましたね?内容を聞いてもいいですか?」
芳川さんは私の声がけに、覆っていた手を退けて真っ直ぐとこちらを見据えた。
「始めに分かって頂きたいのは、この話は全て私の独断です。社長の意向ではありません。」
「はい、、。」
「、、実は社長は今、病に患っておられます。」
「えっ、、!?!?病気!?!?」
「柏木紗江さんが暁人さんと会いに来て下さった時も決して検査入院などではありません。もう数ヶ月あそこに入院されていらっしゃいます。」
「そんなっ、、!何故あの時、あんな嘘を!?それが分かっていたらきっと暁人くんだって、あんな態度なんてとらなかったかもしれません!!」
「それも全ての社長の意向です。」