一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》



聞こえてきた言葉は全くもって想像していなかった言葉で、ヒュッと喉に冷たい空気が通り過ぎた。











別れ下さい、、、?


彼はそう言ったの?






たった今、言われた言葉なのに随分と前に言われた言葉を思い出すかのように思考がうまく働いてくれない。


人差し指で触れたコーヒーカップがまだ熱くて、これは夢や過去なんかじゃなくて〝今〟起こっている事なのだとようやく理解した。















『、、ずっと紗江さんの恋愛を妨害してきました。学生の頃も海外にいた時も慎一にも嘘をつかせて紗江さんに恋人がきないように仕向けていました。森田さんもそうです。2人は想い合っていたのに、そんな2人の仲を引き裂いた。最低な男です。』

『それと急ではありますが、父親の会社を継ぎます。既に辞表を提出していますので、今月まで今の会社でお世話になる予定ではありますが海外と日本を行ったり来たりの生活です。軌道に乗れば海外が生活の拠点となるでしょう。更なる利益を求めるならば政略結婚もあるかと思います。』

『だから、、楽しかった〝恋愛ごっこ〟はこれで終わりです。紗江さんの側に居れる時間は本当に幸せで、、でも同時に罪悪感が募るばかりでした。紗江さんの恋愛を散々妨害して傷つけて奪う事しかできない。そんな自分が心底嫌で時々、息をするのも苦しかった。だから紗江さんを解放する事ができて、正直ホッとしているんです。父親の会社を継ぐのは勿論自分の意思です。母が離れてでも守りたかった会社を、そして不器用な愛情を注いでくれていた父の会社を今度は自分が守っていきます。前に、、言ってましたよね?〝海外での生活なんて考えられない〝って。だから俺と紗江さんは始めからこうなる〝運命〟だったのだと。』



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