一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
診断結果は過労で点滴を打たされた。
病院が終わり、帰りにアパートに寄ってくれて荷物を取るべく中へ入る。
しんっと静まり返る部屋。
あちこちに存在する彼のモノ。
それらを見るたびにどうしようもない苦しみに襲われる。
彼と沢山過ごしたこの部屋で独り元の生活を送れるかと聞かれたら答えはNOだ。
急いで必要な荷物を積み込んで部屋を飛びたした。
外に出て、ようやく深い呼吸ができた。
そして急いで車へと乗り込む。
「姉貴?大丈夫か?」
心配そうにしてくれる慎一に眉を下げた答えた。
「大丈夫じゃないかも。気持ちに整理がつくまで、、お邪魔してもいい?」
「当たり前だろ。その方が皆んな喜ぶ。」
「ありがと。じゃあ帰ろう?」
「あぁ。」
車が発進してアパートから遠のいていく。
車内は静かな音楽だけが流れる。
でも今はそれが心地良かった。
家へ着く目前でずっと黙りこんでいた慎一が口を開いた。
「、、アイツの肩を持つ訳じゃねーけど、姉貴の事、本気だったんだ。」
「うん、、分かってるよ。」
「だからこそ別れを選んだんだと思う。一大企業の御曹司なんて苦労が目に見えてる。ましてや一般家庭で育った俺らには到底理解できないような理不尽な事だらけだ。」
「うん、、。」
「そしてそこに入る人間なんて更にだ。その中で一生生きていく事は精神的にも肉体的にも容易な事じゃない。」