一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「こらこら!女の子がそんな言葉恥じらいもなく叫ばない。まぁ、驚くのは分かるけど。」
あまりにもあり得ない事実を聞けば、誰だって叫びたくもなるだろう。
世の男が欲しいものを何かも持っているような子なのに、女性経験がないだなんて。
「少しは落ち着いたか?」
隣の彼から優しく問われ、コクコクと何度も頷くと塞がれた口が解放された。
「あまりの驚きでついっ、、。」
『いえ、彼女の弟である親友にもよく驚かれますから。当然の反応かと思います。』
困ったように苦笑いを浮かべる彼を初めて可愛いと感じた。
「そんな長い事片想いしなくても、片瀬くんならもっと早く告白すればよかったんじゃない?そしたらここまで苦労せずに済んだのに。」
『あの頃は、彼女の理想にはなれてなくて、、振られるのは分かってましたから。せめて彼女の理想に近づいてから、と思っていました。』
「紗江の理想?」
『はい、、昔聞いた事があるんです。本人から直接聞いた訳ではありませんが、隣の部屋で彼女が彼女の友人と話しているのを聞いてしまって。』
「うん?それで紗江の理想って?」