心がささやいている
「単に間違いだったんじゃないの?ウチの犬『かもしれない』って連絡入っただけだし。とりあえず確認して欲しいって話だったけどさ」
「ちぇっ。なら変更の連絡ぐらい入れろってんだ」
そう話しながらやって来たのは、中学生くらいの少年と少女だった。二人の手には複数のリードが握られ、そこには小さな子犬たちが数匹繋がれて一緒にわらわらと歩いている。よく見てみると、その子犬らはどことなく腕の中にいるこの子に似ている気もした。この子の方が一回り程身体は小さいが、見る限りでは月齢はそう変わらないのではないだろうか。
ある可能性が頭をよぎって、辰臣が隣の少女に目をやると。彼女はじっ…と、その犬を連れた二人組の様子を伺っているようだった。だが、その表情は硬く、どこか辛そうに見えた。
「だいたいねぇ、今時迷い犬のチラシなんかで簡単に見つかると思うこと自体間違ってるのよ。下手にウロついてれば、すぐに保健所に連絡が行って連れてかれてオシマイだよ」
「まーな。それもそうか」
ケラケラと笑っている二人の様子に、辰臣は唇を噛んだ。笑うような内容ではない。ましてや、これが動物を飼ってる者の言葉だなんて耳を疑うとこだ。
だが、二人の会話は続く。
「ま、この世は弱肉強食。弱い者は生き残れないってことだなっ」
「よく言う。そんな風に開き直ってるとお母さんに言っちゃうよ?お兄ちゃんがいつも、あの犬イジメて憂さ晴らししてたってコト」
「バカ言え!あれは躾だろっ?人聞きの悪いこと言うんじゃねぇよっ!」
「まーた、そんなこと言って…」
「ちぇっ。なら変更の連絡ぐらい入れろってんだ」
そう話しながらやって来たのは、中学生くらいの少年と少女だった。二人の手には複数のリードが握られ、そこには小さな子犬たちが数匹繋がれて一緒にわらわらと歩いている。よく見てみると、その子犬らはどことなく腕の中にいるこの子に似ている気もした。この子の方が一回り程身体は小さいが、見る限りでは月齢はそう変わらないのではないだろうか。
ある可能性が頭をよぎって、辰臣が隣の少女に目をやると。彼女はじっ…と、その犬を連れた二人組の様子を伺っているようだった。だが、その表情は硬く、どこか辛そうに見えた。
「だいたいねぇ、今時迷い犬のチラシなんかで簡単に見つかると思うこと自体間違ってるのよ。下手にウロついてれば、すぐに保健所に連絡が行って連れてかれてオシマイだよ」
「まーな。それもそうか」
ケラケラと笑っている二人の様子に、辰臣は唇を噛んだ。笑うような内容ではない。ましてや、これが動物を飼ってる者の言葉だなんて耳を疑うとこだ。
だが、二人の会話は続く。
「ま、この世は弱肉強食。弱い者は生き残れないってことだなっ」
「よく言う。そんな風に開き直ってるとお母さんに言っちゃうよ?お兄ちゃんがいつも、あの犬イジメて憂さ晴らししてたってコト」
「バカ言え!あれは躾だろっ?人聞きの悪いこと言うんじゃねぇよっ!」
「まーた、そんなこと言って…」