心がささやいている
話し掛ければ普通に返してくるし、ちゃんと相手の目を見て話す。
その辺は好感が持てる位だった。そういうことが自然に出来ない奴は世の中わりといる。愛想が良いかと言われると決してそうともいえないレベルではあるが、それでもまぁ許容範囲だろう。
既に随分と向こうまで行ってしまった彼女の後姿を眺めながら。あのコと辰兄が一緒にいるところを想像して少し笑った。
(絶対、辰兄がひとりでテンション高めで勢いで押しまくって、今日の約束も取り付けたんだろうな…)
昨夜、嬉しそうに運命だの何だのと興奮気味に語っていた辰臣を思い出すと、十も年上の男だというのに微笑ましいとさえ感じてしまう自分がいる。
辰臣の邪気の欠片もない人懐っこい笑顔。それに絆される者は多い。幼い頃の自分も、その一人なのだけれど。
辰臣には、そういう意味での不思議な力があると思う。自然と人を惹き付け、簡単に打ち解けてしまえる力が。それは子どもの頃から変わらない。少し天然な部分も変わらずに、そのまま大人になってしまった感は否めないが、裏表のない純粋な心と優しさを持っているからこそ動物たちにも自然と好かれているのだろう。
自分は、そんな辰臣に悪い虫がつくことが許せないのかも知れない。
もう彼も立派な一人前の大人だ。逆に未成年である自分に、そんな心配なんかされたくもないだろうとは思う。それこそ、自分が知らないところで彼にだって出会いや経験が色々あるだろうし、そもそも幼馴染みの自分が口出すことでもない。余計なお世話でしかないのだが。
その辺は好感が持てる位だった。そういうことが自然に出来ない奴は世の中わりといる。愛想が良いかと言われると決してそうともいえないレベルではあるが、それでもまぁ許容範囲だろう。
既に随分と向こうまで行ってしまった彼女の後姿を眺めながら。あのコと辰兄が一緒にいるところを想像して少し笑った。
(絶対、辰兄がひとりでテンション高めで勢いで押しまくって、今日の約束も取り付けたんだろうな…)
昨夜、嬉しそうに運命だの何だのと興奮気味に語っていた辰臣を思い出すと、十も年上の男だというのに微笑ましいとさえ感じてしまう自分がいる。
辰臣の邪気の欠片もない人懐っこい笑顔。それに絆される者は多い。幼い頃の自分も、その一人なのだけれど。
辰臣には、そういう意味での不思議な力があると思う。自然と人を惹き付け、簡単に打ち解けてしまえる力が。それは子どもの頃から変わらない。少し天然な部分も変わらずに、そのまま大人になってしまった感は否めないが、裏表のない純粋な心と優しさを持っているからこそ動物たちにも自然と好かれているのだろう。
自分は、そんな辰臣に悪い虫がつくことが許せないのかも知れない。
もう彼も立派な一人前の大人だ。逆に未成年である自分に、そんな心配なんかされたくもないだろうとは思う。それこそ、自分が知らないところで彼にだって出会いや経験が色々あるだろうし、そもそも幼馴染みの自分が口出すことでもない。余計なお世話でしかないのだが。