心がささやいている
(…なのに、何で来ちゃったんだろう…)
ランボーと戯れながら会話に花を咲かせている二人をぼんやりと眺める。
まだ大空さんという人がどんな人物なのか、自分は知らない。けれど、彼のその明るい無邪気な笑顔に断れなかったというのが一番大きいのだと思う。自分には珍しいことだが、相手のペースに乗せられてしまったのだ。うっかり流されてしまったとも言える。
(勿論、動物に対して優しい心を持っている人だってことは知ってるけど…)
ちょうど十年くらい前。まだ小さな子犬だったランボーが飼い主から辛い仕打ちを受けていたことを知り、大空さんは『ごめんな。つらかったな…』とランボーに謝っていた。大空さんが悪い訳ではないのに。彼がランボーに謝ることなど何もない筈なのに…。
でも、きっと彼は同じ『人』として…。そんな酷いことをする『人間』を、どうか許して欲しいと、ランボーに謝罪したのだ。
そんな大空さんに。あの時、私は幼いながらに衝撃を受けていた。
それは綺麗ごとなんかじゃない、本当に彼の心からの謝罪だったから。
ひとつの小さな命の為にも心を痛ませてしまえる優しい心の持ち主。
だからこそ、託せた。この人なら大丈夫だって。『この子を大切にしてくれる』っていう確信があったから。
あの時は、傷跡が残る痛々しい身体を小さく震わせていたランボー。でも、今は、綺麗に手入れされたふわふわの尻尾を振って撫でられるままに気持ちよさそうにそれを受け入れている。
そんな健やかなランボーの様子に自然と笑みがこぼれた。
「ホントに、良かったね。らんぼー」
そう。此処へ来てしまったのは…。
そんなランボーと大空さんに少しばかり興味が湧いたからなのかも知れない。
ランボーと戯れながら会話に花を咲かせている二人をぼんやりと眺める。
まだ大空さんという人がどんな人物なのか、自分は知らない。けれど、彼のその明るい無邪気な笑顔に断れなかったというのが一番大きいのだと思う。自分には珍しいことだが、相手のペースに乗せられてしまったのだ。うっかり流されてしまったとも言える。
(勿論、動物に対して優しい心を持っている人だってことは知ってるけど…)
ちょうど十年くらい前。まだ小さな子犬だったランボーが飼い主から辛い仕打ちを受けていたことを知り、大空さんは『ごめんな。つらかったな…』とランボーに謝っていた。大空さんが悪い訳ではないのに。彼がランボーに謝ることなど何もない筈なのに…。
でも、きっと彼は同じ『人』として…。そんな酷いことをする『人間』を、どうか許して欲しいと、ランボーに謝罪したのだ。
そんな大空さんに。あの時、私は幼いながらに衝撃を受けていた。
それは綺麗ごとなんかじゃない、本当に彼の心からの謝罪だったから。
ひとつの小さな命の為にも心を痛ませてしまえる優しい心の持ち主。
だからこそ、託せた。この人なら大丈夫だって。『この子を大切にしてくれる』っていう確信があったから。
あの時は、傷跡が残る痛々しい身体を小さく震わせていたランボー。でも、今は、綺麗に手入れされたふわふわの尻尾を振って撫でられるままに気持ちよさそうにそれを受け入れている。
そんな健やかなランボーの様子に自然と笑みがこぼれた。
「ホントに、良かったね。らんぼー」
そう。此処へ来てしまったのは…。
そんなランボーと大空さんに少しばかり興味が湧いたからなのかも知れない。