心がささやいている
そんな邪気のない辰臣の笑顔に押されて、結局明日も此処へ立ち寄ることを約束してしまう咲夜なのだった。
そうして、猫の捜索へと向かう二人と共に救済センターを出ると、外には依頼主である親子が辰臣たちを待っていた。猫の特徴や行動範囲などの詳細をこれから教えて貰うのだという。
猫の写真が入っているのか、男が辰臣にスマートフォンの画面を見せてきた。
「これで…分かりますかね?」
「そう、ですね。良いと思います。他にも身体全体の模様や特徴が分かるようなものがありましたら数枚送っていただいてもいいですか?」
そう言って、自らのスマホを取り出して送信して貰っている。
颯太は、その横で彼らのやり取りを静かに見守っていた。
「すみませんね。時間ギリギリになって、こんな依頼…。気まぐれな猫なので家に帰って来ない日も以前からあったので、もしかしたら他のお宅にお邪魔していたりするのかもと私たちは半ば諦めていたんですが、この子がどうにも納得出来ないみたいで…」
申し訳なさそうに頭を下げる夫婦の間で、両手を胸の前で組み、今にも泣き出しそうな少女が訴えてきた。
「おねがい。チャチャを見つけて、おにいちゃん。チャチャは大切なかぞくなの」
「分かった。何とか頑張って探してみるね」
辰臣が少女に視線を合わせるように屈み混んで笑顔を見せた、その時だった。
『ま、無理だろうけどな』
(…えっ?)
思わぬ囁きが聞こえてきて、咲夜は目を見張った。
『余計な手間と出費にはなったが、まぁ体裁を守られただけでも良しとするしかないか』
そんな心の囁きとは裏腹に。その男は、辰臣たちに「どうか宜しくお願いします」と再び深々と頭を下げた。
そうして、猫の捜索へと向かう二人と共に救済センターを出ると、外には依頼主である親子が辰臣たちを待っていた。猫の特徴や行動範囲などの詳細をこれから教えて貰うのだという。
猫の写真が入っているのか、男が辰臣にスマートフォンの画面を見せてきた。
「これで…分かりますかね?」
「そう、ですね。良いと思います。他にも身体全体の模様や特徴が分かるようなものがありましたら数枚送っていただいてもいいですか?」
そう言って、自らのスマホを取り出して送信して貰っている。
颯太は、その横で彼らのやり取りを静かに見守っていた。
「すみませんね。時間ギリギリになって、こんな依頼…。気まぐれな猫なので家に帰って来ない日も以前からあったので、もしかしたら他のお宅にお邪魔していたりするのかもと私たちは半ば諦めていたんですが、この子がどうにも納得出来ないみたいで…」
申し訳なさそうに頭を下げる夫婦の間で、両手を胸の前で組み、今にも泣き出しそうな少女が訴えてきた。
「おねがい。チャチャを見つけて、おにいちゃん。チャチャは大切なかぞくなの」
「分かった。何とか頑張って探してみるね」
辰臣が少女に視線を合わせるように屈み混んで笑顔を見せた、その時だった。
『ま、無理だろうけどな』
(…えっ?)
思わぬ囁きが聞こえてきて、咲夜は目を見張った。
『余計な手間と出費にはなったが、まぁ体裁を守られただけでも良しとするしかないか』
そんな心の囁きとは裏腹に。その男は、辰臣たちに「どうか宜しくお願いします」と再び深々と頭を下げた。