ずっとおまえが嫌いだった
私は勉強にまともについていくことができなかった。
いつも、赤点。通信簿は10段階で1か2だ。  

それを、父に見せるとまた、殴られる。
中学2年の夏休みの最初の日、私は通信簿を書き換えることにした。

1はなんとか7に書き換えられそうだ。
2はなんとか8にならないだろうか。

そのときだった。

彩也子が見ていたのだ。

心臓がとまりそうだった。

彩也子は私の持つペンと通信簿で察したにしたに違いない。

急いで目を逸らした。

彩也子の口の端が上がっているように見えたからだ。
見られた。なにより、私を笑った。

バカにされた。


仕事から帰ってきた父に通信簿を見せることになった。
兄弟たちは並んで各々の通信簿を父に得意気に見せる。

藤次はいつも学年トップだ。なにも恐れることはないだろう。
孝次も彩也子も通信簿は並みだ。
3人とも私とは違う世界の人間に見えて惨めだった。

とうとう、私の番だ。父に震える手で通信簿を渡す。

父がうけとる。

書き換えたことがばれないだろうか
あるいは、彩也子がばらしたりはしないだろうか。

冷や汗がでる。手が震える。

ばれたらまた、棒で殴られる。

静寂が訪れた。

父は小さくため息をついて私に通信簿を返した。
おとがめはなしだった。

年少の清次が私をなんとはなく、眺めていた。
< 3 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop