ずっとおまえが嫌いだった
出席日数が少ないことから
高校は偏差値の低い高校に行くことになった。

そこで、私は初めて好きな人ができた。

結城くんという名前だった。

端正で可愛らしい顔をした男の子だった。
目があって一目惚れをした。

友人の江里に頼んで彼との仲を取り持ってもらった。
幸い江里には彼氏がいたのでWデートをすることになった。

場所は地元からちかい遊園地。

江里とその彼氏。そして、私と結城くん。

私が生きてきた10数年のなかで幸せな時間だった。
もしも、結城くんと私が結婚したら私はあの家から出られる。

その時は結城くんは何になってるんだろう。
弁護士?医者?結城くんなら頭がいいからなんでもなれる。

子供はそうだな。
女の子がいい。ピアノを習わせる。
ピンクのフリルのドレスを着せて
時計台の大学に行かせる。

私は幸せな未来を思い描いていた。


結城くんとはそれからも定期的に電話をしていた
学校であったこと、好きな本のこと
他愛もない話だけど、私は幸せだった。

高校1年の冬頃から
結城くんとの連絡はまちまちになった。
前なら1週間に3回は電話をしていたのに
今は2週間に1度あるかないか。

そうだ、結城くんは勉強で忙しいんだ。
なんていっても頭がいい。

なにか、わかることはないかなと思って江里に聞いてみた。

江里は私が声をかけて見るなり目を見開いた。
そして、顔を背ける。

江里どうしたの?

「私さ、結城くんと付き合ってるんだ。ごめんね」

なにがなんだかわからなかった。江里は親友だ。
私の悩みごとも聞いてくれたし、勉強だって一緒にした。
1度なんて、Wデートもした。

江里が背を向けた。

江里が去っていく。

同時に結城くんも私のもとから去っていった。

終わりを告げる放課後のチャイムが鳴った。





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