ずっとおまえが嫌いだった
第2章 妹、彩也子の供述
まさか、姉が亡くなるなんて人間っていつ死ぬか分からないものなのね。
スーパーの階段で足を滑らせるなんて…ごめんなさい。
突然のことだから、動揺してしまって…

話は何でしたっけ?

ああ…そう、姉の生前の事ね。

姉は…そうね。
子供の頃から人の神経を逆撫でするところがあったんです。
そのせいで、父から殴られて兄弟で何度も止めに入ったわ。

それに、髪を抜く癖があって頭が拳大くらいの大きさにはげてたの
それを本人もコンプレックスに思っててね。
抜けた髪をもう一度固めて…こうかつらみたいにしてね
はげた部分に被せてたの。なんか、すごく気持ち悪かったわ。

それに、子供の頃から私と孝次と清次はいじめられてた
お菓子を捨てられたり
孝次なんて体が小さかったから姉からいつも叩かれたりしてた。
私たち兄弟で姉の事が好きな人はいないわね。

母?

そういえば、母は姉の話をしないわ…というより
母が姉と話してるところは見たことないの。

とにかく、姉は私たち兄弟とは違う世界線でいきてたわねえ…

あ、でもね藤次兄さんは姉のお気に入りだったわ。

高校のころだったかしら
姉はね兄の藤次に勉強を教えてもらってたの。
変でしょ、兄の藤次のほうが姉より年下なのに。

でね、その勉強を教えてもらってるとき
姉ってば兄の体をベタベタ触るの…抱きついたりとかもしてたわ。

父がそれを見てすごく不愉快そうな顔で「あいつは婬売だ」って。

たしかに姉もおかしいけど、実の娘に婬売ってねえ…
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