100-3は? ~なにもかも秘密な関係~



 あやめが泡風呂に入っていると、誰かが部屋の扉をノックした。

「あやめ、今、いいか」
と聞こえてくる。

 基の声だ。

「あ、はい」
と反射的に返事をしてしまったが。

 扉を開ける音がしたところで、あやめは気づいた。

 よくはないっ!

「あやめ?」
とあやめが室内にいないのに気づいてか、不審げな基の声がする。

 やばい、どうしたらっ?
と思ったとき、部屋の中を歩き回って、あやめの姿を探していたらしい基が風呂の戸を開けた。

 湯に浸かっているあやめを見て固まり、
「何故いる……?」
と呟く。

 いや、いないと思っていたのなら、何故、開けました、と思ったのだが。

 基の性格からして、いないと思ったからこそ、開けたのだろう。

 まさか、風呂に入っている女がどうぞ、と言うわけもないし。
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