100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 



 ついに、そのときが来たようですね。

 問題のゲーセン、なんとなく行くことになるんじゃないかと思ってました、
と高倉は暗い海に向かって、釣り糸を垂らしながら思っていた。

 周りに、たくさん居る釣り人は、みな、対岸の灯りが海に揺れるのを見ながら、ぼんやり静かな時を過ごしている。

 このまま、一緒に釣り糸を垂らしていたい気持ちだ。

 そんなことを思いながら、夜風に吹かれている高倉の後ろをあやめと基が横切っていった。

 その気配を背中で感じながら、高倉は思う。

 うーん。
 景品が取れなかったときのあの二人の反応も見てみたいですが。

 最終的には基様がスマートに取れるよう、あのインチキアームをなんとかしておいた方がいいでしょうね。

 高倉は、あやめたちが遠ざかっていったあとで、さりげなく立ち上がり、折りたたみ椅子を畳もうとした。

 ……が。
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