100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 さあ、いよいよ、潜入!
と高倉が思ったそのとき、横から、

「あー……」
というなんとも言えない残念そうな声がした。

 二人の老人の声だ。

 横で釣りをしていた老人が、仲間の老人の釣り糸と自分の釣り糸を絡ませてしまったらしい。

 簡単に解けそうに見えたが、目の悪いお年寄り同士、もたもたと釣り糸を解こうとしているので、余計絡まりそうな感じになっていた。

 い、今すぐ行かなければ……。

 今すぐ……

 今すぐ……っ!

 ……今っ。

「て、手伝いましょうか?」
と思わず言って、

 ありがたや、ありがたやーと老人二人に拝まれてしまった。

 基たちの姿はもう消えていた。



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