100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 


 高倉はまた海に向かって歩いていった、あやめたちのあとをさりげなく付けて行っていた。

 二人は埠頭の先端まで歩いていく。

 釣り人たちも居ない、灯りのない石灯篭の近くで、並んで海を見ているようだった。

 なにを話しているのか、時折、笑い合っている。

 基はあやめのお掃除ロボットの箱を持ってやっているのだが。

 あやめがちょっとそれを覗いて、また笑う。

 ちょっとだけ、あやめの唇の動きを読んでみた。

『あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す
 せ・ん・む――』

 基の方は月を背にしていて、よくわからなかったが。

 まあ、こんな場面で言いそうなセリフは読まなくてもわかる気がした。

『もういい加減、専務はよせ』

 くらい言ってるんだろうな~、と思う。
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