100-3は? ~なにもかも秘密な関係~




 なんだ。
 心配することなかったですね、と高倉は基の手を引き、出て行くあやめを見ていた。

 世話など焼かなくとも、なんだかんだで、二人とも楽しそうだ。

 では、私も行きますか、と潜んでいたゲームセンターから高倉は出ようとした。

 手にしていた先祖伝来の犬の毛皮を半被(はんかぶ)りに被る。

 薄暗い夜道の草むらや木の陰から覗いていても、不自然に思われないためだ。

 だが、店を出るとき、ちょうど、やってきたほろ酔い加減の若い男と出入り口ですれ違ってしまう。

 高倉をふと見た男は、

「なんだ、犬か……。

 ……犬!?」
とゲームセンターを出て行く犬を振り返っていた。

 しまった……。
 隠形(おんぎょう)術を使うのが早すぎたようだ、と思いながら、高倉は、基たちを追って、埠頭に戻る。



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