死者の幸福〜最期のメッセージ〜
「必ず、死因を特定します」

大河が安心させるように微笑み、三人を見つめた。

必ず解明してみせる、と藍は決意した。



その日の夕方、藍は隼人を保育園に迎えに行き、家に帰っていた。

「今日ね〜、桜ちゃんと遊んだんだ。薫くんたちとも鬼ごっこしたよ」

「そうなの。楽しかった?」

「うん!楽しかったよ〜」

藍の隣で隼人はニコニコと笑う。藍は手を差し出し、隼人と手をつないだ。まだその手は小さい。

「今日の夕ご飯は何〜?」

「今日はね、カレーだよ」

「わ〜い」

はしゃぐ隼人を見て、藍は癒される。癒しがあればまた仕事を頑張れる。

その時、ふわりと藍の鼻腔の中においしそうな匂いが入り込んでくる。横を見ればパン屋があった。

「いい匂い!」

隼人が匂いを嗅ぎ、目を輝かせる。藍もパンが食べたくなってきた。空腹の時は尚更だ。

「パン、買って帰ろうか」

藍の提案に、隼人は「わ〜い!!」と喜ぶ。そのまま二人はパン屋の中へ入った。小さなパン屋にはお客は藍たちしかいない。
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