死者の幸福〜最期のメッセージ〜
「でも、有毒植物を海彦さん自身が食べたのか、何者かに食べさせられたのかわかりませんね」

藍が死因をみんなに伝えると大河がそう言い、「遺書が有れば自殺なんですけど、未だに見つかってないんですよね〜」と原刑事が言う。

手鏡があっただけで、進展はなかった。



廃墟から研究所に藍と大河は戻り、手鏡が落ちていたという話を朝子たちにしていた。

「手鏡!?意外に乙女チックだったのかしら」

朝子がそう言い、「違うだろ、絶対」と聖が言う。

「手鏡か〜……。事件なのか自殺なのかはっきりしないキーですよね〜……」

英二が藍と大河にお茶を渡す。二人は「ありがとう」と同時に微笑んだ。

その時、「すみません……」と控えめに部屋の扉が開く。ライダースジャケットに白いニット、チェックのスカートをはいた女性だ。

「あの、こちらで玉子さん……じゃなかった!海彦さんが解剖されたと聞いてーーー」

部屋の中をオドオドしながら見ていた女性は、藍の姿を見つけると目を見開く。藍も、誰だか思い出し、立ち上がった。
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