死者の幸福〜最期のメッセージ〜

「朝日奈美紅（あさひなみく）さんですか？」

「はい！」

女性ーーー朝日奈美紅は照れくさそうに笑う。朝日奈美紅とは、高校で男子生徒が貯水槽の中で亡くなっていた事件で出会った。朝日奈美紅はその亡くなった桑原陸人に助けられていた。懐かしい顔に、藍は驚くが嬉しさもある。

「お元気にされてますか？」

「はい！××会社で働いています。たま……海彦さんの部下でした」

「ええっ！？」

藍はもちろん、大河たちも驚く。英二がお茶を用意し、藍たちは朝日奈美紅から有働海彦の話を聞くことになった。

「海彦さんの死因は何だったんですか？」

朝日奈美紅の問いに、「有毒植物を摂取したことによる中毒です」と藍は答える。朝日奈美紅は首を傾げた。

「それって、海彦さんは殺害されてんですか？」

「それはまだわからないの。遺書も見つかってないし」

朝子が申し訳なさそうに言う。死因がわかったとしても、他殺なのか自殺なのかはっきりしないのはもどかしい。藍の胸にも申し訳なさがあった。