旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 結婚したばかりの頃、彼が御曹司だと発覚した時に感じたお互いの身分差についての不安は、今はすっかりない。

 隆臣のご両親は優しく私を受け入れてくれたし、御曹司だからと言って、彼自身の本質が変わるわけでもない。

 家柄のことばかり気にしていたのは私だけだったのだと今ならわかる。

 隆臣は隆臣。私は私。お互いに、ありのままの姿を好きになったのだから。

 そんな思いをこめてジッと彼を見つめていると、隆臣がはぁっとため息をつく。

「……あまり見つめるなよ。今すぐケダモノになりそう」
「ダ、ダメダメ! なるなら家でね!」

 彼の腕を引っ張って副社長室を出ようとすると、ドアを出る寸前で逆に腕を引かれ、顎をくいっと掴まれた。

「……帰る前にもう一回だけキスさせて」
「もう……」

 同期同士で、甲殻類コンビで、副社長と秘書で、夫と妻で。この関係にどんな名前が付けられようと、私たちはとにかくベストパートナー。

 お互い年老いたとしても、きっと笑って喧嘩して、まだまだ甘いキスをする。






 FIN

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