旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
エビお手製のパンケーキは最高においしそうで、冷蔵庫にあったリコッタチーズと、エビがキッチンの一角で栽培しているらしいミントの葉を飾ると、見ているだけでテンションの上がるおしゃれな朝食が完成した。
それから四人掛けのダイニングテーブルで向かい合い、ふたりで「いただきます」と声をそろえた。
「食べるのがもったいない……けど、食べちゃう!」
「どーぞ、食べてもらうために作ったんだから」
ナイフとフォークを使ってパンケーキを切り分け、ぱくっと口に含む。空気を含んだ生地がしゅわ~と舌の上でやわらかく溶け、甘い風味が鼻から抜けた。
「はぁ~……幸せ」
思わず表情をほころばせる私を見て、エビも穏やかに笑う。
「よかった。こんなんでよかったらいつでも作ってやるよ」
「ホント? やったぁ。……でも、もったいないことする女性もいたもんだね。こんなに美味しいパンケーキ作れる相手との結婚を断るなんてさ」
そんな私の発言に、エビは心外そうな顔をしてツッコむ。
「俺と結婚するメリットパンケーキだけかよ」
「あはは、ごめん」