旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 コーヒーをすすりながらそんなことを思っていると、エビが言った。

「これ、飲み終わったらお前のこと家まで送ってくよ」
「え、いいよ別に。明るい時間だし」
「でもお前、たしか実家暮らしだよな? 親に朝帰りをなんて説明するつもりなんだ?」
「あっ……」

 エビの指摘に、しまったと慌てる。

 私はいまだに実家暮らしなので、飲みに行く日は母の携帯に連絡を入れるルールだ。しかし、昨夜は飲みに行くから食事は要らないとは伝えてあったものの、エビの家で飲み直すことになりさらに泊まることになったとまでは説明していない。

 無断で朝帰り……絶対に叱られる……。

 頭を抱えて青ざめる私を見たエビは、予想通りの反応だというふうに苦笑した。

「だから一緒に行って説明してやるって言ってんの。同期の飲み会で盛り上がりすぎて、二次会で俺んちに集まってみんなで雑魚寝してたってことにすればいいだろ?」
「エビ……! ありがとう、恩に着る!」
「お礼は三倍返しな」

 せっかく熱い友情に感動していたのに、エビの意地悪発言でサッと薄れていく。

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