旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 彼女の背後から画面を覗くと、寸劇に登場するキャラクターの簡単な設定を決めているようだった。

【小木ベア・常になにか食べている演技をしながら、動物たちの食べ物について説明。種類や量など、あっと驚く情報を入れる】

【秋山コブラ&松下マングース・犬猿の中である動物についてケンカをしながら説明。一緒のオリに入れたらこうなっちゃう!などと舞台上で実演する】

【千葉ラビット・年中発情しっぱなしのチャラい雄ウサギを演じつつ、動物たちの恋の季節や求愛行動などを説明(子どもたちやその親が引かない程度に!)】

 そこまで読んだ俺は我慢できずに吹き出し、小刻みに肩を震わせた。

「お前、これは……問題作だろ。いろんな意味で」
「でも、チームのみんながこのキャラクターを本気で演じてくれたら、すごくうまくいきそうだと思わない?」
「いや、むしろキャラっつーか、素でいけるくらいハマってると思う」
「でしょっ?」

 うれしそうに満面の笑みを浮かべた理子は、またキーボードを叩き始める。今度はさっそく寸劇の脚本に取り掛かろうとしているようだ。

 しかし、もうすぐ二十時になる。がんばりすぎて体を壊したら元も子もないし、企画の方向性が定まったのなら、残業はほどほどにしてもらおう。

 ……そろそろ仕事のスイッチは切って、俺の方を見てほしいし。

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