旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~
「理子、これ以上は明日にしろ。まだチームのみんなにも話してないんだし」
「あ、そうだね、ついひとりで盛り上がっちゃった……」
壁の時計を見上げた理子は、ふうと気が抜けたように息をつき、パソコンを閉じた。それから傍らに立つ俺に、穏やかな笑みを向ける。
「ありがと、ヒントくれて」
鼓動がドキ、と音を立て、愛しさが胸にこみ上げた。
「……どういたしまして」
俺は短く言うと、身をかがめて理子の唇にキスをした。彼女の甘い香りがふわっと鼻腔をくすぐり、たまらない気持ちになる。
数秒後に唇を離すと理子の顔は真っ赤で、怒っているような泣き出しそうな、けれど確実に甘さをはらんだ瞳で俺を睨んだ。
「本気、なの……? 結婚のこと」
やっとその話をしてくれる気になったらしい。俺はふっと微笑み、「もちろん」と答えてうなずいた。