旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

 部屋のドアを出て玄関に向かい、ガチャリとドアを開ける音がした後、千葉くんが「あっ」と声をあげるのが聞こえた。

  彼の知り合いだったらなんだか気まずいので、私は気配を消すように部屋の奥のベッドに戻り、とりあえず座る。

「いるんだろ? ここに」
「いえ、あの、その……」

 廊下の方から千葉くんと、もうひとり聞いたことのあるような男性の声が聞こえてきて、まさか部屋の中まで来ちゃうの?と慌てた私はとっさに布団の中に隠れる。

 な、なんでこんな浮気相手みたいな真似してるんだろ……。よく考えたら隠れる必要なんかないのに、つい体が動いちゃったよ……。

 布団の中で息を殺していると、この部屋のドアが開く音がして、ドキッと鼓動が跳ねた。そして、誰のものかもわからない足音がベッドに近づいてくる気配に、さらに心拍数が上がってぎゅっと目を閉じる。

 だめだ、見つかる……!

 その瞬間、布団がばさりと一気に剥がされた。こわごわ薄目を開けると、そこにあったのは見慣れた同期の顔だった。

 な……なんでエビがここに。

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