旦那様は内緒の御曹司~海老蟹夫妻のとろ甘蜜月ライフ~

「って、ごめん、なんかひとりで勝手に盛り上がって!」

 照れくさそうな理子の声で我に返った俺は、穏やかに微笑んで首を横に振る。

「……いや。わかるよ。俺も理子とそんな家庭を築きたい」

 俺の言葉を聞いた理子は、ふわっと幸せそうな微笑みを浮かべて、こちらまで胸が温かくなった。ああ……こんなにデキた嫁をもらって、俺はなんて幸せ者なんだろう。

「よかった。じゃあ、ここはとりあえず社会見学ってことで」

 理子にそう言われてハッとしたが、今さら俺の家のことを話す雰囲気ではない。……まぁ、また別のタイミングがあるだろう。

「ああ。……そうだな」

 俺は曖昧に頷き、その場では理子に合わせた。

 ……今日はサイズを確認するだけにとどめておいて、後で俺ひとりで指輪を見にこよう。つつましやかな理子にこそ、きちんと上質な指輪を贈りたい。

 俺は心の中でひっそりそんな計画をし、ショーケースを覗く理子の横顔を眺めていた。

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