愛され秘書の結婚事情*AFTER
「確かに、悠臣さんの仰る通りです。私、今、すごくスッキリした気分です……」

「……前から思っていたんだよね」

 軽く頬杖を突いて、悠臣はうつむく彼女を柔らかな瞳で見つめた。

「君はすごく素直な心の持ち主だけれど、同時に、すごく自分に不正直だな、って」

「え……私が、ですか?」

 意外な言葉に驚いて、七緒は顔を上げて男の顔を見た。

 悠臣は柔らかな表情を崩さないまま、「うん」と答えた。

「ねえ、僕が前に言った言葉、覚えてる? あなたの心の重荷を、全て取り除いてあげたいって言ったこと」

「はい。覚えています。……忘れるはずありません」

「ありがとう。あれはね、僕の本心だよ。君にプロポーズする前から、ずっと思っていたことなんだ」

 背中を伸ばし、テーブルの上で両手指を重ね、悠臣は言った。

「七緒は意見や意志ははっきり口にするけれど、感情を表に出すのは苦手だよね。特に辛いとか悲しいとか寂しいとか、ネガティブな感情を」

「そう……かも、しれません……」

 初めて気がついた顔で、七緒は言った。

「実家が、古いしきたりに雁字搦めにされたような、そういう空気の場所だったので……。私が幼稚な態度を取ると、躾がなってないって、母が親戚から責められたし……。本家の娘なんだから、キチンとしなきゃってプレッシャーもあって……。元々、明るく賑やかなタイプじゃないから、自分でもこれでいいと思っていて……」

「うん」

 正直に答える七緒を、悠臣は弧を描いた目で見つめた。

「そこは君の美点でもあるよね。正直、すぐ感情に走る女性は、少々苦手でね。七緒くらい控えめな女性の方が、むしろ落ち着くっていうか、ホッとするよ」

「それを聞いて、安心しました」

 悠臣の言葉に、七緒の方がホッとしたように表情を緩めた。

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