愛され秘書の結婚事情*AFTER
 ミモレ丈のドレスを着た七緒は、白いヒールを芝生の上に脱ぎリラックスした格好で、美しい海を見つめながら言った。

「フロリダは初めて来ましたけど、とても気持ちのいい所ですね。お天気にも恵まれて、本当に良かった」

「うん、そうだね」

 眩しいものを見るように目を細め、悠臣はぼんやりした口調で答えた。

 彼もジャケットと靴を脱ぎ、砂浜の脇の芝生の上に座っていた。

 どこか心ここにあらずの夫に気付き、七緒は悠臣の正面に立った。

「悠臣さん、どうしたんですか? もしかして疲れたんですか?」

「いや……」

 悠臣はそう言って、辺りをゆっくりと見回した。

 宿泊客のみが利用出来るプライベートビーチは、オフシーズンとあって人もまばらで、遠くでサーファー達が波乗りしている姿が見えるだけだ。

「……七緒」

 近くに誰もいない浜辺で、悠臣はいきなり立ち上がると、強い腕で彼女を引き寄せて抱き締めた。

 声を上げる間もなくキスで口を塞がれて、七緒は驚いた。

 屋外でするにはあまりに情熱的で長いキスをした後で、悠臣は自分同様に息の上がった彼女を見て、「行こう」と低い声で言った。

 花嫁の手を取って、まるで何かに急き立てられるように、悠臣は大股で部屋へと戻った。

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