恋歌はクリスマスを彼と過ごしたい
 恋歌は勤務するみつり出版に入社した当初から男性社員にちやほやされていた。

 それはもちろん恋歌が若くて可愛くて綺麗だからというのもあるし恋歌自身が相応に好かれる努力をしてきたからである。

 だが、ただ一人、恋歌にそっけない態度をとった男がいた。

 村田修(むらた・おさむ)。

 会社の飲み会で初めて会ったとき、恋歌は村田に愛想良くしてあげたというのにつれない態度で返されてしまった。

 元風見大学ミスコン優勝者(になるはずだった女)を冷たくあしらったのだ。

 恋歌が何か悪いことをした訳でもないし怒らせるような真似をした訳でもない。

 それなのにそっけなく扱われたのである。

 その辺の平均値レベルの女ならともかく、こんなに可愛い私にあんな目に遭わせるなんて……。

 許せない!

 恋歌は誓った。

 村田を振り向かせてやる。

 絶対に振り向かせてやる。

 私に夢中にさせて、その上で振ってやる!

 これは戦い。

 あのそっけない男の心を掴んで握り潰してしまわない限り終わることのない戦い。

 恋歌の根底にあるもの。

 それは恋ではなく復讐だった。
 
 
 
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