【女の事件】とし子の悲劇~2・5世帯のなみだ
第20話
さて、クソッタレの家では、義弟の結婚問題で深刻な問題を抱えていた。

義妹が国分寺町の森林公園で発生したレイプ事件で亡くなった上に、アタシとクソッタレの結婚生活が破綻してしまった…

なので、義父母が義弟の結婚のことでおたついていた。

義弟自身は、25歳までに恋人を作って、3年後に結婚をすることを希望していた。

しかし、どんなにがんばってもお給料が上がらない…

女性が望んでいる理想の結婚相手像である最低限の年収300万円には届かない…

義弟の基本給は毎月13万7800円であるけど、基本給の中からことでんの円座駅から志度駅までの定期券代と保険料とお昼のお弁当代が差し引かれて、手取りは8万9800円であった。

会社の保険証がないので、病院受診の時は国民健保で病院の診察を受けるようになっているなど、不便を強いられていた。

義弟は、日増しに表情が攻撃的になっていたので、食事を終えた後、ムスッとした表情を義父母に見せるようになっていた。

そんな時、義父母はいつもこんな会話をしていた。

「ねえあなた…どうしましょう。どうすればいい?」
「だから何なのだよ!?」
「ひろかずの結婚のことよ…このままひろかずにお嫁さんが来なくなったら…どうすればいいの?しほが亡くなったから、この家には女の子はいないのよ。」
「そういうオドレは、家の預金通帳を勝手にもちだしたのはとしこさんだとわめき散らして、としこさんを追い出して置いて今さらなんだ!?」
「あなた!!どういうことなのよそれは!?」
「ひろかずが結婚をしたいと言うのならば、どうして早いうちに動こうとしなかったのだ!?親同士のお見合いの会などがあるのにどうして利用しなかった!?」
「あなたこそ何よ!?ひろかずの将来のことをあれやこれやとケチつけておいて!!それじゃあ!!ひろかずには嫁さんは必要ないと言いたいわけなの!?」
「来てほしいよ!!」
「だったら、協力しなさいよ!!」
「わしに命令する気か!?」

義父母は、毎度のように怒鳴り合ってばかりいた。

義弟は、毎日ことでんの電車を乗り継いで、円座町の家と志度町の工場の間を往復の暮らしだけを続けていた。

義弟自身は、習い事や青年会の集まりなどには全く関心はないので、友人知人はひとりもいなかった。

工場で働いて、手取り8万9800円のお給料だけが正味の収入で、学歴は中学しか出てないし、運転免許証などの資格もない状況下で暮らしていた。

その上に、義妹のわがままのために何もかもをがまんして生きてきたから、積もり積もったウッセキが爆発しそうになっていた。

義弟は、家族間のコミュニケーションがキハクになっていたので、大ゲンカを繰り返していた。

そのために、義弟の気持ちがヒヘイしていた。

義父母は、義弟にお嫁さんが来なくなったらどうしようどうしようとうろたえてばかりいるので、タイショすることができない…

『としこさんの作った手料理が食べたい。』『としこさんにみそしるを炊いてほしい。』『ひろかずのために目玉焼きを焼いてほしい。』…

…とほざいてばかりいる義父母…

義父母はアタシに帰ってきてほしいと言うけど、アタシは虫ケラ以下のモンペア義父母がどんなに求めてもアタシは拒否します。

2016年7月9日のことであった。

アタシは、クソッタレの家に行って、家に残っている着替えとメイク道具を全部取り出すことにした。

アタシは、紙袋に残っている着替えとメイク道具を詰めながら、帰ってきてくれと頼んでいる義父を怒鳴りつけていた。

「あのね!!アタシが家の預金通帳を勝手に持ち出したことをワーワー騒ぎ立てたあげくに、アタシを家から追い出したのでしょ!!それを都合が悪くなったらやっぱり戻ってきてほしいと言うのはどういうコンタンなのかしらね!!あんたらは花嫁さんを粗末にするだけ粗末にしたのだからそのうちバチが当たるわよ!!アタシはあんたらの家とはリエンするから!!…明日からは女ひとりで生きて行くわよ!!…サイアクだわ!!こんなことになるのだったら、再婚なんかするのじゃなかったわ!!」
「としこさん、このとおりだ…料理を作ってくれ…みそしるを炊いてくれ…ひろかずに目玉焼きを焼いてくれぇ…」
「イヤ!!ダンコ拒否するわよ!!アタシはあんたらとはリエンするから!!義弟に目玉焼きを焼いてほしいと言うのであれば、違うお嫁さんを選ぶべきでしょ!!どうしてアタシみたいな頭のボロい女を選んだのかしらねぇ…あんたは頭がクルクルパーのクソバカじゃない!?」
「悪かったよぉ…だけど、ひろむは離婚歴があるのだよぉ…」
「はぐいたらしい(あつかましい)わね!!アタシも離婚歴があるのよ!!アタシはやさぐれ女だから、結婚する資格なんか生まれた時からなかったのよ!!アタシは女ひとりで生きて行くから…アタシはコンリンザイ恋愛も結婚もしないから…男なんかいなくても、アタシには生きて行く方法なんていくらでもあるわよ!!わかっとんかしら!!」

アタシは、赤茶色のバッグと荷物がぎっしりと詰まっている紙袋を持って立ち上がったあと、義父にこう怒鳴り付けた。

「あのね!!あんたはクソッタレにお嫁さんが来ない原因がゼンゼン分かってないみたいね!!アタシは思い切りキレているのよ!!ごはん作ってほしいのであればあんたの奥さんに作ってもらいなさいよ!!義弟にお嫁さんが来ないと言うのならばあんたらで義弟の面倒を見なさいよ!!」

義父に怒鳴り付けたアタシは、赤茶色のバッグと荷物がぎっしりと詰まっている紙袋を持って、義父のひたいを右足で激しくけとばしたあと、家出をした。

アタシは、この日を境にしてクソッタレの家に帰らなくなった。
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