いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「あ? なんだよ、どうした」
短く答えただけの真衣香を不思議に思ったのか八木が立ち上がる。
真衣香が手にしている総務宛の郵便物を見てニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「ああ、下行ってたんだろ。坪井にも会ってきたんじゃねーの? の、わりに。何だよその情けねぇ顔は」
グッと手にした郵便物を持つ手に力が入る。
社内の噂話なんて瞬く間に広がるし、当然八木が知っていてもおかしくはない。
けれど直接、坪井の話題を出されたことはなかった。
今、話題にされてしまうとは、なんてタイミングだろうか。
「や、八木さんに関係ないですよ。 ほ、ほら今の間に確認してほしい書類があるんです。課長に見せる前に」
少し震える声で返事をしてしまったかもしれない。
けれど。
「あ? どの分?」
そんな真衣香には気がついていない様子で、会話が進められた。
ホッとし、デスクに早足で戻った真衣香が引き出しから取り出した書類に二人で目を通す。
そうして、そのまま黙々と仕事に打ち込んだ。
最近は早く帰りたいな、と。
坪井と話したな、と。
どこか夢見心地だった真衣香の心を冷んやりと、まるで季節に合わせるようにして、冬の現実に引き戻してきているかのよう。
不安で揺れる心は、輝いていた恋心を黒く塗りつぶしてく。