いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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「……はぁ」
営業部から戻った真衣香は思わず大きなため息をついた。
心臓がバクバクと緊張を伝えているし、かと思えば重苦しく不安や虚しさも同時に伝えてくる。
「なんだぁ? お前戻ってくるなりため息なんかつきやがって」
顔を上げ見慣れた総務課のフロアを見ると、真衣香の隣の席に何度見てもサラリーマンらしくない明るめの髪の毛が目に入った。
夕方の、この時間に自分のデスクにいるなんて珍しい。
「あ、八木さん。お疲れ様です、戻ってたんですね」
一応総務に在籍している八木だが、営業所とのやり取り以外は遠い親戚でもあるという経営陣と外出することも多い。
こうして総務にいる時は、ひたすらくつろいでいるし、真衣香の目にはサボっているように見えてしまうのだが。
(……私みたいな一般社員にはわからない仕事もあるのかもしれないけどね)
気が抜けた真衣香は、若干脱力しながらそんなことを考えていた……のだが。
「おー、仕事増えたからな。南も中央も、また新しい派遣だかバイトだか入れるって言うだろ。研修はこっちでやるってよ」
八木の言葉で、再び身体に力が入る。
「……そうですか」
何故かって、そんなの考えるまでもない。
南、と聞くと、どうも脳内は咲山を思い返してしまうようになったらしくズキッと胸が痛んだような気がした。