いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


真衣香と坪井の方を振り返りながらも、咲山は2人の様子を気にすることなくマスターと呼ばれる男性に話しかけた。

「ね、マスター。投げてから飲むから適当にすっきりするやつ作っててね」

頷くマスターを確認した後、咲山は「涼太早く」と坪井に呼びかけながら他の客たちと奥へと進んだ。

そんな咲山に「はいはい」と短く返事をしながら、視線を真衣香へ移した坪井は「ね、無理してない?立花」と心配そうな声で聞いた。

「大丈夫だよ、私が来たいって言ったよ」

真衣香は笑顔を無理やり作って答える。

「や、そうなんだけど……。なんてゆーか」

言葉を濁らせた坪井が、ガシガシと頭を掻き乱しながら、何を言おうとしたのか。
真衣香にはなんとなく想像がついてしまったような気がした。

今、悶々と考え込んでいた内容そのままなんだろう。

場違いでしかないし、さっきも……店に入った時、あの時も。
きっと坪井が割り込んできてくれなければ、
咲山と坪井というお似合いの二人についてきた『地味なよくわからない女』でしかなかったんだろう。

(私、意地になってきたけど……。坪井くんの迷惑になるかもなんて考えてもなかったよね。最低だ)

「坪井くん、咲山さん行っちゃうよ」

滅入りそうな真衣香は声を奪われてしまったかのように、小さく頼りない声で、咲山の方へ言ってくれと言わんばかりの言葉を坪井に向けた。
そんな真衣香を見て、坪井の心配そうな顔がさらに強まる。

「あー、うん。それは、別に勝手にしたらいいよ、お前はどうする? 奥にダーツあるんだけど」

当たり前のように、咲山よりも真衣香を優先するような発言。

ドキッと胸は確かに高鳴ったのに。

なのに。

そんな優しい姿を見ても、気を遣わせてしまっている……と。
素直に喜ぶこともできないほどに、今、真衣香からは自信が消え去ってしまっていた。

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