いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「……絡みすぎでしょ、帰ろうか俺ら」
坪井は冷ややかな声を返す。
その声にムッとした顔を一瞬見せたあと「もー、こんな場でマジになんないでよ」と言いながら上体を起こし、坪井の横に並び背中をポンポンっと叩いた。
「やっぱ、まだ投げてないけど一緒にお酒取りに行く〜」
そう言ってグイグイ坪井を引っ張る咲山を、坪井は振り払うことなく。
「ごめん、すぐ戻るから」と真衣香に言い残し歩き出した。
二人を見送る形で眺める。
頭に響くBGMのせいか。
場に酔ったのか……頭が重い。
ハタから見ると、ポツンとひとり取り残されているように映ったのだろう。
「ねぇねぇ、彼女さん。涼太とめっちゃ雰囲気違うくない?」
頭上から声がして見上げた。
先ほど店の入り口にいた数人が真衣香に話しかけてくれていたようだ。
「私も思った〜!どんな経緯でこうなったの?」
あっという間に咲山と坪井の友人達に囲まれてしまい、真衣香は相変わらず声が出なくなる。
こういった場にも慣れていきたいと思っていたのに、いざとなれば、これまでと何ら変わらないのだから嫌になってしまう。
「てか夏美は涼太ときっぱり終わってるのかな!? あの二人よくわかんないんだよね」
「いやお前それ彼女の前で聞くか普通!」
ドッと笑い声が響く。
(た、確かに私に聞かれても……)
何なら自分が知りたい、と。
他にも思うことはあるだろうに、止まってしまった思考回路ではこんなことしか考えられないようだった。
すると。
そんな真衣香の様子を見てだろうか。
ふふっと、すぐ隣で小さな笑い声が聞こえた。
顔を上げなくてもわかる、咲山の声だ。
咲山が、戻ってきたのだろう。