いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「何の話〜?」

嬉しそうな咲山の声とは反対に、呆れたように大きく息を吐きながら。

「立花、ごめんな一人にして」

坪井の声がして、それと同時、テーブルにグラスが置かれた。

坪井は真衣香と視線を合わせ、ニカッといつも通りの陽気な笑顔を見せた。
そして真衣香に合わせ折っていた上体を起こし、苛立ちを隠さず早口に言う。

「ったく、お前ら、やめてくれない? 適当なこと言うの。咲山さんも、言わせっぱなしにするとかどーなの? 立花にこんな思いさせるために連れてきたの?」

刺々しい声色が、盛り上がっていた空気を降下させていく。

「んだよ、涼太ぁ、らしくねぇな! 王子様気取りかよ。引くわ」

「しかも咲山さんって! 夏美ってそういや咲山さんだったっけ?フルネーム忘れてた〜」

盛り下がり、張り詰めてく空気を茶化すように何人かが口を開くけれど、坪井の声は陽気さを取り戻すことなく、乾いた笑いと共に応えた。

「はは、王子様とか、まさか柄じゃないけど」

眉を片方だけ下げて口元をゆがませる、歪な笑顔。
ネクタイを乱暴に緩めながら抑揚のない口調が続く。

「でもさぁ、こいつがお前らのせいで俺と付き合ってるの嫌だとか言い出したらどう責任取ってくれんの?」

なぁ? と、隣のダーツ台にいた二人組の男性の元に近寄り、そのうちの一人が手にしていたダーツの矢を奪い取った。

そのまま彼の顔……瞳の前に突き刺すようにして矢を向けた。

「涼太、マジ待て待て。お前こんなことで切れんなって」

青ざめた男性が数歩下がる。
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