いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「そんなんで喜ばせてるんじゃ、相当ヤバいよね、俺。まあ、実感してるけど、ここんとこいつも」
天を仰ぐように、夜空を見て、坪井は大きく息を吐いた。
白く、広がる、その様子を眺めていたら自然と言葉が溢れ出す。
「……信じるね。坪井くんの中に、ちゃんと私がいるって。咲山さんや、他の人じゃなくて私なんだって」
(信じる、かぁ……)
それは一体、何を軸にして、なんだろう。
目の前の、この、映る景色と聞こえてくる言葉を?
わからなくて、言ったそばから違和感を感じながらも、それでも。
この瞬間は、隣を歩く彼の笑顔がみたいと思ったのだ。
すると、ピタリと歩みが止まる。もちろん真衣香も引っ張られるようにして止まってしまう。
「坪井くん?」と名を呼ぶと、繋がれていた手を痛いほどに引かれ、弾みで、トスン、と音を立て坪井の胸に顔をぶつけた。
そのまま、近くにあったビルの壁に軽く身体を押しつけられ覆い被さるようにして抱き締められた。
「ちょ、ちょっと、どうしたの? 痛い……ってか苦しいよ」
大通りから、隠れるよう脇道に外れたのだが、それでも人目が気になった。
「なぁ、立花。今日、帰らないでよ」
「え?」
けれど、その人目も、すぐに気にする余裕がなくなる。
あまりにも力強く、真衣香の手首を掴み、抱き締めてくるから。
そして。
すぐ目の前に、坪井の顔が迫って、吐息を唇に感じた瞬間――
「ん、んん……っ!?」
噛みつかれたかのような、深いキス。
くちゅ、っと唾液が絡む音が聞こえたと思えば、閉ざされたままの真衣香の口内への入り口を、暖かな舌が刺激する。
「ん、や、やだ、外……」
羞恥から咄嗟に拒否してしまうと、名残惜しそうに真衣香の唇を舐めて、坪井の顔は離れた。