いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
電車から降りて、手を繋ぎ歩いた。
坪井は何やら楽しそうに話しかけてくれていたけれど、それどころでない真衣香は、どんな会話をしたのか。
話したすぐ後から、残念ながら記憶に残っていなかった。
やがてたどり着いたのは、五階建ての比較的新しく綺麗なマンションで、エントランス前に植えられた木々は常緑樹なのか緑が多い茂り、それが淡いオレンジ色のライトに照らされオシャレな印象だった。
坪井がオートロックのボタンを押し、解除してエントランス内へ入る。
自分以外の、誰かの家なんて。
親戚か優里くらいしか知らない真衣香は、どのように振る舞えばいいのか。
わからないまま俯いて歩いた。
「こっち」と手を引かれ、素直にエレベーターに乗る。三階で止まり、降りてすぐ横、その部屋の鍵をガチャっと音を立て、坪井が開けた。
優しく背中に触れながら、坪井は真衣香を部屋に招き入れる。
腰の辺りまである黒のシューズクロークの上に鍵を置いて「あがって」と後頭部にキスをしながら囁かれた。
(つ、坪井くんの、家……)
黒っぽい家具で揃えられた部屋を見渡す。
見えてしまったものから瞬時に目を逸らして、けれど思わず息を呑み、怯んだ。
「おーい、立花」
「え!?」
考え込んでいたところを、引き戻されて、大きな声を上げると困ったように眉を下げ坪井が言った。
「そんな緊張しないでよ。 お前が乗り気じゃないなら俺何もしないよ、一緒にいたかっただけだから。な?」
「う、うん……」
ぎこちなく返事をすると、坪井はコートを脱ぎながら「お前のも貸して」と、こちらへ手を伸ばす。
急いで脱いで「ありがとう」と手渡すと、ハンガーに掛けてくれて。