いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
自分でも驚くほどの、大きな声だった。
人に、こんなふうに声を張り上げたのは、初めてだ。
荒げた声に、なにを思ったのだろう。坪井からもう何も言葉は返ってこなくて。
触れてた指先も、今はもう離れていったようだ。
飛び出すように坪井の部屋を後にして、走った。
涙が乾いてくれないかなと願って、走って、走って。
やがて、少しの期待を込めて振り向いてしまう。
「…………あ、はは、は」
当たり前の光景。
「やだ、もう、やだ。バカみたい」
坪井は追いかけてこない。
涙は乾くどころか、流れ続けてる。
優里の助言を無視した結果だろうか、と。
真衣香はどこかで考えた。
あまりにも、彼女のいう通りの結果。
真衣香は初めての彼氏を、失った。
いいや、きっと、はじめから彼氏などではなかったんだ。
空を見上げた。
厚い雲に覆われて、彼の肩越しに見えてたはずの光り輝く星は、身を潜めてしまっていた。