いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
しゃくりをあげて本格的に泣き出してしまった自分をコントロールできず、焦る真衣香に坪井が「立花」と呼びかけながら手を伸ばす。
(呼ばないで、呼ばないでよ)
その声の方を、見てしまいそうになる。見てしまったらもっと涙が溢れる。
嘘だよって、言って。笑ってくれないかなと願ってしまうではないか。
そんなのは嫌で、声を振り絞る。
「ごめん、なさい。 私帰る……」
肩に触れた坪井の手を、払いのけた。
これ以上惨めになりたくない。
恥ずかしい女でいたくない。
せめて、自分から立ち去りたい。
よろよろと、立ち上がり玄関に向かう真衣香。
なけなしのプライドが身体を動かしてくれる。
「待って、立花。ごめん、駅まで送るから、まだ終電……」
「いい、ひとりで帰れる」
手首を掴もうとでもしたのか。肌に坪井の指先が当たった。
「……ごめん、でもこんな時間だし危ないから」
何が〝ごめん〟なのだろう。触らないでほしいと、心がその感触を拒絶した。
「ひとりになりたいの……!どうして心配するような言い方ができるの!?」