いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
起き上がろうと自分の腕を支えに、体重をかけながら上体を起こした。
”彼”の声がする方を、恐る恐る振り返る。
「おい無理すんな」と八木が背中に手を添えた、その様子を無表情で眺める坪井の姿が目に入った。
「な、何で坪井くん……」
顔を見て、自分の口からその名を呼んで。
あの夜の冷たい声と笑顔、冷え切った自分自身の身体。
瞬時によみがえって、真衣香の声を震えさせた。
目に映る姿は、これまでと何も変わらないというのに。 感じ取る印象が、変わってしまったのか。 その姿を直視できずにいた。
「いや……コピー機の修理、どうなってんのかなって下でうるさいから聞きに。そしたらお前倒れたって言うから」
「誰のせいだっつーの」
真衣香が答えるよりも前に八木が割って入った。 その声はからは刺々しい雰囲気を感じる。
「え? 何がです?」
貼り付けたような整い過ぎている……、そんな笑顔で坪井が言った。
真衣香はこの笑顔を知っている。 そう強く感じた。 あの夜、真衣香に酷い言葉を投げつけた、その時の笑顔もこんなふうに作り物みたいな笑顔だったと、強く印象に残っていだからだ。
(多分、笑う気がないのに表情作ってる時なんだよね)
もっと柔らかく、少年のよう、朗らかに笑う姿もあったことを思い返しながらハッとして、小さく左右に首を振った。
早く、忘れてしまいたいから。