いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「……俺のだな。はい、ああ、杉田さん。 すいません。 もう戻りました?」

相手は杉田のようだ。
会議から総務に戻ったのだろうか。 この状況では、総務あての電話などは人事が対応してくれているのだろうからひとまずホッと胸を撫で下ろした。

「はい、送って行こうと思うんで、小一時間電話やら急ぎあれば頼めますか? 自宅に放り込んだらすぐ戻るんで」

そう言って通話を終えた八木に、真衣香が声をかけるよりも早くなぜか坪井が声を発した。

「送るって何すか? 八木さんが立花を?」

問い詰めるような早口に、八木の眉根がピクリと動く。

「他に誰がいるってんだよ」
「や、俺行きますけど。 ちょうど昼休み入るし、その足で客先行けばちょうどいいかなって思うんで」

坪井の言葉に耳を疑った。
それは八木も同じだったようで「どの口が言ってんだ?」と呆れたように言って更に続いた声は低く這うような声だった。

「あのなぁ、どう考えてもこいつの不調はお前が原因なんだろ、坪井。 さっきの話何だよ? このクッソ寒い中コートも着せずに? 女が外を出歩く羽目になったのはどういう経緯でだ」

もしも真衣香に向けられていたものだとしたら、恐ろしくて肩を縮めてしまうかもしれない……そんな声だ。

< 178 / 493 >

この作品をシェア

pagetop