いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
坪井の登場により機嫌が急降下してしまった様子の八木。 坪井は何か言い返そうと口を開けたが、
すぐに言葉を飲み込むようにして、黙り込む。
その沈黙を、会話が終わったと判断した八木が真衣香に視線を戻して言った。
「まぁ、今はいい。マメコ帰るぞ。立てるか? 担ぐか?」
その2択ならば、もちろん。「立てます……」とサンダルを履いたけれど、やはり立とうとすると、めまいですぐには立ち上がれず、ふらついた。
それを何度か、繰り返す。
真衣香の様子を黙って眺めていた八木だが、痺れを切らしたのか。
「はいはい、もう気ぃすんだか?」と溜息まじりに言って先ほどと同じように真衣香を、ひょいっと担ぎ上げてしまった。
「や、八木さん、私ほんと、もう少し休ませてもらったら……一人で帰れます」
トントンと、弱々しい反撃で八木の背中に訴える。
総務のフロアで膝をついてしまった時よりも、横になったおかげか、意識もしっかりしているうえに、今は……坪井の視線を痛いほどに感じる。
それが真衣香の恥ずかしさを増大させていた。
「ったく、今更なんだお前は。 尻は避けてんだろ文句言うな」
(し、尻って……!)
顔が熱くなっていく真衣香の後ろでは、小さくだけれど「……チッ」と、確かに聞こえた舌打ち。
思わず唇を噛んだ。
そんな坪井の行動ひとつで、真衣香の頭の中には小野原の一件や、その一連での坪井との会話、自分の胸の高鳴り。 全てを、よみがえらせてしまうのだ。
(もう嫌だ……)
また涙が出そうになる自分にいい加減嫌気がさした。