いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「何言ってんだ、無理じゃねぇだろ。 お前今まで総務に直接来たことあったか? なかったろ、用がありゃ全部事務が来てた」
「え、そうでしたっけ?」
八木の言葉を交わすように言って「覚えがありませんけど」と、更に付け加えてせせら笑う。
「こいつと何の関係もなかった頃なら、コピー機の件なんかでお前が二階に足を運ぶことなんざなかったろーよ。 意味わかるか」
息を呑む音が聞こえたが、結局何も返してこない坪井を今度は八木が鼻で笑って言った。
「はは、図星かよ」
それには黙っていられなかったのか坪井が口を開く。
「そーですねぇ、図星かどうかは置いといて八木さんも」
坪井が、こっちにも言いたいことがあると言わんばかりに切り返す。
「ただの上司にしては距離近過ぎません? 女の子直に触って担ぎ上げるとか」
「……論点ずらしてまで未練がましくないか? お前何がしたいんだ」
「別に、未練はないんですけど。 素直にそう思って聞いただけで」
部屋の温度が下がってきているように錯覚しそうになる。
穏やかな会話とは到底思えず、しかも自分の体調管理のズボラさで八木を巻き込んでしまっている罪悪感。
真衣香は「八木さん」と背中を叩き、この場を離れたい意思を、訴えるしかなかった。
が、しかし八木は黙っていなかった。
それどころか、とんでもないことを言う。
「……はっ、距離が近いねぇ。 上司がそんなことすんのがおかしいっつーんなら、じゃあ俺はマメコに惚れてんだろうな」