いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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――ピピっと、音が聞こえて真衣香は浅い眠りから引き起こされた。
「悪いな、寝てたか」
八木が車の鍵を開けた音のようだった。
「すみません……荷物持ってきてもらって」
坪井と応接室で顔を合わせてしまってから、すぐ。
八木は真衣香を地下の駐車場まで担いで運び、車の助手席に座らせ、エンジンをかけ暖房のスイッチを押してくれた。
その後、真衣香の荷物を忘れていることに気がつき取りに行ってくれたのだ。
(何から何まで申し訳なさすぎるよ……)
八木は「気にすんな」と短く答えて、後部座席に真衣香のカバンとコートを置いてから運転席に乗り込んだ。
「人事部の奴に取ってきてもらったけど、今日着てきた服はロッカーに入れたままにさせてるぞ。 女の服はなぁ、俺が触っていいやつかダメなやつか、わからんから」
「ありがとうございます……、大丈夫です、明日持って帰ります」
横目で八木の姿を追う。
無駄な動きなくシートベルトを締めて「ああ、そういやマメコ、お前住所は」と、聞かれたので答えると素早くナビに入力をしてくれたようだ。
『目的地まで、およそ、30分です』と、画面から機械的な女性の声が聞こえる。 その声を聞きながら八木は右手でハンドルに触れ、ゆっくりと車を発進させた。
「つーか、明日はさすがに無理じゃねぇか? 無理して来るなよ、熱が下がり切ってから出社しろ」
「す、すみません……」
「謝らんでいい、それより降ろすの病院じゃなくて家でいいのか、今更だけど」
地下の駐車場から出ると薄暗かった景色から途端に車内は陽に照らされた。
眩しくて目を細めながら横を向くと、真衣香の方を見ていた八木と目が合う。
心配そうな、顔をさせてしまっている。