いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
やがて、ふわりとした感触が背中を包む。
嗅ぎ慣れた自分の部屋の匂い、ベットの感触。 心地良くてすぐに布団を顎の辺りまで上げてかぶった。
「大丈夫か?」
と、優しい声がした。夢の中の八木は随分と真衣香に甘い。
だから、ぽつり、ぽつりと本音がこぼれ落ちてしまう。
「あのね、八木さん。 私も悪いんですよ、坪井くん……だけ、じゃ、ないんです」
「……急にどうした、なんの話だ?」
真衣香の言葉に、優しい声は反応を返してくれた。
「冗談……だったん、ですよ、坪井くん。なのに……真に受けてしまって。一緒にいたあいだ、嬉しかったのは私だけで……嫌な思いさせてたのかなぁ、って」
「…………あのなぁ、どうしてそうなる」
深く大きなため息と一緒に、大きくひんやりとした手が真衣香の額に触れて、髪を撫でて、火照った頬を包んだ。
「坪井は、なんで、こんな女を泣かせるかねぇ。 理解できねぇな」
冷たくて気持ちがいい。なのに、暖かい。
不思議な感覚が真衣香を包む。
夢ならばと、その手に縋り付いた。
「八木さん、どう、どうしよう、まだ……、坪井くんを見たら、ドキドキしたんです」
夢の中の八木は真衣香の手を振り解いたりはしなかった。
「なんで、もうドキドキしたって無駄……、なのにっ」
ポロポロと涙が溢れて、流れた。 大きな手が撫でるようにしてそれを拭い取る。
「アホか、まだ何日も経ってねぇんだから」
そう言って八木は真衣香の頭を小突いた。
夢の中の八木も、やっぱり変わらず少し乱暴だ。